こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院院長の米山博彦です。
今日は「 インプラント周囲炎は気付きにくい!その理由は?」のお話をお届けしたいと思います。
インプラントの歯周病とも言える「インプラント周囲炎」。これはインプラントの天敵とも言えるもので、インプラント周りに歯垢や歯石が蓄積することで歯ぐきが炎症を起こし、悪化するとあごの骨が溶け、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまうという怖ろしい病気です。
そんなインプラント周囲炎、り患しても気づきにくいという特徴があります。理由は天然歯の歯周病同様、インプラント周囲炎も、初期は自覚症状が現れにくいから。進行すると歯ぐきの腫れや出血、痛み、排膿、インプラントの動揺などが現れますが、初期は自覚症状に乏しく、気づかないうちに悪化しやすいのです。
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インプラント周囲炎の治療を受けないまま放置すると、歯周ポケット内で歯周病菌は増殖し、歯周ポケットはどんどん深くなります。そのうち歯周病菌はインプラントを支えているあごの骨を溶かし始め、最終的にはインプラント体が脱落するという最悪の結果にもなりかねません。
1. インプラント周囲炎が気づきにくい原因
インプラントは人工物であるため、天然歯が持っている「警告アラート」機能が備わっていません。
- 痛みを感じる神経がない:インプラント本体には神経がないため、周りの骨が溶けていても、かなり悪化するまで痛みが出ません。
- 歯周靭帯(歯根膜)がない:天然歯には細菌の侵入を物理的に防ぐ「バリア」と「クッション(歯根膜)」がありますが、インプラントにはそれがないため、無症状のまま炎症が深部へ一気に進みます。
- 出血が目立ちにくい:インプラント周囲の歯ぐきは血液供給が少なく、初期の炎症(出血)が見逃されやすい傾向があります。
- 揺れない:天然歯は骨が溶けるとグラグラしますが、インプラントは骨と直接結合しているため、骨が残りわずかになるまでびくともせず、手遅れになりやすいです。
2. 予防するための対策10選
「気づいた時には手遅れ」を防ぐには、日々の徹底した管理とプロによるチェックが不可欠です。
① インプラント専用の清掃用具を使う
インプラントの土台付近は特殊な形状をしています。普通の歯ブラシだけでなく、ワンタフトブラシ(筆のようなブラシ)を使って、根元をピンポイントで磨きましょう。
② 歯間ブラシの適切なサイズ選定
フロスよりも歯間ブラシの方が、インプラント周囲の汚れ(プラーク)を落とす効率が高いとされています。歯科医院で「隙間にぴったりのサイズ」を選んでもらいましょう。
③ 研磨剤無配合の歯磨き粉を選ぶ
研磨剤(粒)が多い歯磨き粉は、インプラントの表面や土台を傷つけ、そこに細菌が溜まりやすくなることがあります。低研磨、またはジェルタイプが推奨されます。
④ 定期的なレントゲン検査(3〜6ヶ月毎)
見た目で分からない「骨の減少」を確認する唯一の方法はレントゲンです。定期検診で以前の画像と比較することが、早期発見の鍵です。
⑤ 歯周ポケットの深さ測定
インプラント周囲の溝(ポケット)の深さを測り、4mm以上の深い場所がないか、出血がないかをプロにチェックしてもらいます。
⑥ 噛み合わせの定期調整
インプラントは天然歯のように「沈み込み」がありません。自分の歯が削れたり動いたりすると、インプラントにだけ過剰な力がかかり、骨を壊す原因になるため、噛み合わせの微調整が必要です。
⑦ ナイトガード(マウスピース)の装着
就寝中の歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに猛烈な負担をかけ、周囲炎を悪化させます。マウスピースで力を分散させましょう。
⑧ 禁煙の徹底
喫煙は血管を収縮させ、インプラント周囲の免疫力を著しく低下させます。喫煙者のインプラント脱落率は非喫煙者の数倍高いというデータもあります。
⑨ 徹底した全身疾患の管理
特に糖尿病は、感染症への抵抗力を弱め、インプラント周囲炎を劇的に悪化させます。持病がある場合は主治医と連携し、数値を安定させることが重要です。
⑩ セルフチェック習慣(膿と臭い)
鏡を見て、指で歯ぐきを軽く押したときに「膿」が出ないか、また、フロスを通したときに「変な臭い」がしないかを週に一度は確認しましょう。
まとめ
インプラント周囲炎は、一度なってしまうと天然歯よりも治療が困難です。「痛くないから大丈夫」という考えを捨て、「異常がないことを確認しに歯医者へ行く」という意識が、インプラントを10年、20年と持たせる秘訣です。
インプラント治療を受けた後は、インプラント周囲炎にかからないよう、毎日のセルフケアや歯科医院での定期的なメンテナンスを徹底することが大切です。インプラントを検討中の方は、治療後のケアについても心に留めておいてくださいね!
インプラント周囲炎は「歯周病」と似ていますが、進行が速く、気づいたときには骨が大きく減っていることもあります。早めのチェックとクリーニングがとても大切です。
よねやま歯科医院院長 米山博彦
