こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院院長の米山博彦です。
今日は「 インプラント周囲炎は進行が早い!その理由は?」のお話をお届けしたいと思います。
「「インプラント周囲炎」という病気をお聞きになったことはありますか?
これは、一言でいうとインプラントの歯周病。インプラント周りに歯垢や歯石が蓄積することで歯ぐきが炎症を起こし、そのまま悪化するとあごの骨が溶け、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまう病気です。
そんなインプラント周囲炎、実は進行速度が非常に速いことが知られています。
天然歯の歯周病と比べて、10倍以上の速度で進行するとも言われているのです!
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なぜ進行が速いのかと言うと、歯根部分と歯槽骨の間にある歯根膜という組織が、インプラントを入れた歯には存在しないため。
噛み合わせの時にクッションのような役割をする歯根膜は、細菌に対する免疫機能も持っています。
そのため、歯根膜がないと歯周病菌が容易に活動し、炎症や骨の吸収がどんどん進行してしまうというわけです。
インプラント周囲炎の進行が早い理由
天然歯には、歯と骨を繋ぐ**「歯根膜(しこんまく)」**という組織がありますが、インプラントにはこれがありません。この構造の違いが進行の差を生みます。
- 血管が少ない: 歯根膜がないため、歯ぐきへの血液供給が天然歯より少なく、免疫細胞(白血球など)が細菌と戦うために集まりにくい。
- 防御壁がない: 天然歯は繊維が歯を支えるように走っていますが、インプラント周囲の繊維は平行に走っているため、細菌が骨まで容易に侵入できます。
- 自覚症状が出にくい: 神経がないため、かなり骨が溶けるまで痛みを感じず、気づいた時には末期というケースが多いです。
インプラント周囲炎の治療法10選
進行したインプラント周囲炎には、通常のクリーニング(非外科的治療)だけでなく、外科的なアプローチが必要になります。
① 徹底した機械的清掃
チタンを傷つけない専用のスケーラーを使用し、表面のバイオフィルム(細菌の膜)を物理的に除去します。
② エアフロー(高圧洗浄)
アミノ酸やエリスリトールの粒子を噴射し、インプラントの複雑なネジ山(スレッド)に入り込んだ細菌を根こそぎ飛ばします。
③ 抗生物質の局所投与
歯周ポケット内に直接、薬剤を注入します。血流が少ない場所でも、高濃度で長時間細菌の増殖を抑えることができます。
④ 歯科用レーザー照射
Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザーなどを用い、複雑な形状をしたインプラント表面を殺菌・蒸散させます。熱のダメージを抑えつつ高い殺菌効果が期待できます。
⑤ フラップ手術(開窓清掃)
歯ぐきを切り開き、インプラント本体を露出させます。目視で確認しながら、ネジ山の奥にこびりついた汚れを除去します。
⑥ インプラント表面の化学的洗浄
外科手術の際、クエン酸や生理食塩水、過酸化水素などを用いて、インプラント表面に付着した細菌毒素を中和・洗浄します。
⑦ インプラントプラスティー(表面滑沢化)
露出して汚染されたネジ山をあえて削り落とし、ツルツルの面に仕上げます。これにより、将来的に汚れが再付着するのを防ぎます。
⑧ 骨再生療法(GBR)
骨が深く溶けてしまった場合、人工骨や膜を使用して骨を再生させる処置を行います。ただし、天然歯よりも成功率は低いとされています。
⑨ 被せ物の形状修正
清掃性が悪い(磨きにくい)被せ物の場合は、新しいものに作り直します。歯間ブラシが通りやすいデザインに変更することが重要です。
⑩ 除去(抜去)と再埋入
骨の吸収が進みすぎてグラグラになった場合は、周囲の骨をこれ以上壊さないために一度撤去します。骨が回復した後に、条件が整えば再度インプラントを植立します。
進行を止めるための「次の一歩」
インプラント周囲炎は**「早期発見・早期治療」**以外に守る術がありません。
・チェック項目: 歯ぐきからの出血、膿、インプラント周辺の違和感(疼くような感じ)はありませんか?
インプラント治療を受けた後は、インプラント周囲炎にかからないよう、毎日のセルフケアや歯科医院での定期的なメンテナンスを徹底することが大切です。
インプラントを検討中の方は治療後のケアについても心に留めておいてくださいね!
よねやま歯科医院院長 米山博彦
