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Little blond boy sleeping in his bed. Restless sleep of a baby with a cold. The kid sleeps with his mouth open. My little boy sleeping by the light of the window.

お口ポカン(口呼吸)は危険のサイン!

2024年3月30日

こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院 院長 米山博彦です。

子供の不正咬合の原因の一つと言われている『口呼吸』についてお伝えしようと思います。できるだけ早期に対処できれば将来のお子さんの成長に大きな恩恵が期待できるため、まず口呼吸について知りましょう!!

お口ポカン(口呼吸)は危険のサイン!顔立ち、歯並び 、姿勢、また健全な成長発育への悪影響について

口呼吸はなぜいけないと言われるのでしょうか?

一説によると日本人の実に8割以上が何らかの形で口呼吸をしていると言われています。また大人よりも成長期にある子供達への悪影響が最近ピックアップされています!

今全体の相当数の子供達が慢性的な鼻閉(鼻づまり)のため口呼吸になっていると言われています。みるとお口は半開きで、いつもお口ポカンの状態。あなたのお子さんはいかがでしょうか?もしそうだとしたら要注意です!

Little boy is sleeping with his mouth open, snoring.

口呼吸による機能障害の兆候

  • ・いつもポカンと口が開いている
  • ・食べるときにペチャペチャ音を立てて食べる
  • ・猫背で姿勢が悪い
  • ・イビキがひどい
  • ・寝起きが悪く、しばらくボーッとしている
  • ・扁桃腺が腫れやすく、風邪をよくひく

鼻呼吸と口呼吸の違いとは?

本来、鼻は呼吸器(呼吸をする器官)で口は(食事をする器官)であるとされています。

鼻(鼻腔)は 1加湿器 2空気清浄機 3エアコン の3つの機能を果たしているとされています。

鼻呼吸をする場合、乾燥した外気が直接肺に入らないように鼻腔内に分泌される鼻水によって加湿されます。肺に到達する頃には湿度が約90%にまで加湿されています。口呼吸ではこれほど湿度を上げれないため乾燥した外気が体内に入り風邪やインフルエンザのリスクを高めます。つまり鼻呼吸は免疫機能の役割も果たしていると言えます。

また鼻腔内は外気中のホコリや細菌、ウイルスなどを捕獲して出来るだけきれいな空気を肺に送る機能も備わっています。口呼吸ではホコリや細菌、ウイルスが喉や気管に直撃してしまうため感染リスクが高くなります。

また鼻呼吸は冷たい外気を温めて肺に送ります。その温度は約36〜37度と言われています。

口呼吸では冷たい外気が扁桃腺、気管、肺に直接入るため肺の免疫機能も低下してしまうリスクが大きくなります。

(画像引用 武田薬報Web)

口呼吸のデメリットは?

出っ歯になりやすくなる

唾を飲み込んで見ると嚥下する時には舌は上顎を上に押し上げる動きをします。人は1日に700〜1800回嚥下(飲み込み)動作を無意識に行なっています。口呼吸が習慣になってしまうと、舌が下がってきます。すると飲み込む時の力は上顎の骨ではなく前歯を前に押し出す力としてかかります。これが出っ歯の成り立ちの一つです。

さらに舌が低位に下がる事で、上顎の奥歯は内側からの支えを失い、頬の筋肉が歯を内側に押し込む事で臼歯が内側に移動してきます。

その結果上顎の歯列は逆 V字型の歯列になります。幅が狭くなると下顎や舌は前に出る事が出来なくなるため、後ろに後退します。また唇の周り筋肉(口輪筋)が弱くなって口を閉じる力が弱く上の前歯は前方に傾斜して出てきます。

これが日本人に一番多い出っ歯(上顎前突)の成り立ちです。

また上顎も下顎も歯列の幅が狭くなるので、殆どのケースで歯が並びきらない事が多く、ガタガタの歯並び(叢生そうせい、八重歯)にもなりやすくなります。

何故口呼吸になるのか?

アデノイドの問題

アデノイドとは咽頭扁桃と言って、上気道と咽頭の境目にある扁桃組織で3〜6歳ぐらいに肥大してくる事が多く、大きくなりすぎると鼻腔気道を閉鎖して鼻呼吸に障害が出てきます。子供の口呼吸の原因の一つです。

鼻疾患の問題

アデノイドはじめ、その他の鼻疾患、例えば鼻アレルギー鼻炎、鼻中隔湾曲、副鼻腔炎(蓄膿症)なども鼻閉を起こして口呼吸になる原因になります。これは耳鼻科を受診して原疾患の治療を行う必要がある場合も多いです。

上顎の劣成長

また鼻閉による口呼吸が習慣化してしまうと奥歯がほっぺたの筋肉に押されて内側にはいって、上顎骨が十分に成長できなくなります。また上顎が成長できないとすぐ上にある鼻腔底も成長ができないので、空気の通り道の気道は狭いままになりますます鼻閉はひどくなり悪循環になってきます。また上顎骨の成長は9歳までで8割終わると言われておりそれ以降はあまり成長が期待できなくなります。上顎骨の成長は特に中顔面(顔の真ん中あたり)に関連していて、劣成長は将来の顔の見た目にも関係してきます。

口呼吸が習慣になってしまうとどうなる?

口呼吸が習慣になってしまうと顔貌(顔立ち)、姿勢に影響が及びます。

後述する「アデノイド顔貌」が代表的なもので、子供の頃鼻閉が原因で口呼吸になってしまい、大人になって鼻の疾患がなくなっていたとしても口呼吸は意識しないと治らない事が多いです。

いづれにしても口呼吸は重大な全身疾患に結びつくことが警鐘されているため、できるだけ早期に改善を図るべきだと思います。

口呼吸と顔の変形

口呼吸をしていると顔が歪む?

口呼吸が続くと口を閉じる筋肉(口輪筋)が緩み連動して頬筋や咀嚼筋の筋力が弱くなります。また歯並びの悪さからいつも同じ側(噛みやすい側)で噛む癖がつきやすく、また顔の表情筋も左右のバランスが取りづらくなるため左右の目の大きさが変わったり、口角の位置が左右で高さが変わったりすると言われています。

アデノイド顔貌

聞きなれない言葉かもしれませんが、口呼吸が習慣化すると特徴的な顔貌になる事が知られています。

アデノイド顔貌の特徴

  1. いつも口がポカンと開いている
  2. 顔が長い
  3. 口元が出ている
  4. 口を閉じると下顎の下に皺(しわ)ができる。(梅干しができる)
  5. 下顎が引っ込んでいる
  6. 二重顎になりやすい
  7. 唇がめくれあがって分厚い
  8. 鼻の下が長い

口呼吸と姿勢の関連

鼻閉のため口呼吸になると下顎が後退するために呼吸が苦しくなるので気道を拡げるために自然に頭は後ろに沿ってかつ首は前に傾斜してきます。その結果姿勢はいわゆる猫背になってきます。

口呼吸と疾患の関連

イビキは身体からのSOSのサイン!

イビキは寝ている時に舌根が下がって気道を狭くするために起こります。アデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃の肥大が大きな原因と言われています。特にアデノイド咽頭扁桃が鼻呼吸の障害に直接関係していると言われています。

最近では口呼吸の子供のイビキが問題視されています。口呼吸が原因で下顎が後退してそれに伴って舌も後ろに下がってしまいます。この状態が長く続いたり、肥満があったりするとさらに呼吸系の悪循環が起こって、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる疾患に繋がってくる事があります。大人だけではなく子供にも起こります。

睡眠時無呼吸症候群との関連

睡眠時無呼吸症候群は大人だけではなく子供でもあります。この状態になると酸欠(酸素欠乏)の状態が毎晩続くために熟睡できなくなります。さらに問題は熟睡できないと成長期に大切な成長ホルモンが十分出なくなり低身長や低体重、情緒の不安定(イライラ、切れやすい など)が見られる事がある事が指摘されています。

まとめ

口呼吸は単に口から息をしているに過ぎないと思われがちですが、その影響は子供達にとって計り知れないものであると言えます。歯並びだけではなく、顔の形や姿勢、またさらには成長期の身体に大きな影響を及ぼす事態にもなりかねない事が、小児科ドクターや歯科ドクターはじめ、世界中の研究者からの報告、論文で様々な問題点が指摘され、警鐘が鳴らされています。大切な成長期に鼻呼吸を障害する原因をしっかりと調べ、必要があれば耳鼻科、小児科、歯科で治療を受ける事は本来必要のない疾患を回避して、その後の健やかな成長に導いてあげるためにも大切な事だと思います。

鼻から呼吸できる子供と口呼吸の子供は大人になってからも非常に大きな違いが出て来る可能性が大きい事を親御さんは認識してあげてほしいと願います。

よねやま歯科医院 院長 米山博彦

子供の矯正治療  本当に必要?Part3

2024年3月23日

こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院 院長 米山博彦です。

今回はPart2からの続きです。

子供の矯正治療では具体的にどのようなことが必要で、どんな治療をするのかをお伝えします。

具体的には何をするのか。(治療の方法)

全ての不正咬合の始まりである上顎の劣成長の改善から開始して、1〜2ヶ月遅れて下顎の内側に倒れた奥歯を起こす装置を入れます。

使用する主な装置は以下のものです。

治療手順

  1. 上顎の急速拡大(ハイラックスorバラエティー)
  2. 下顎のリンガルアーチ 下顎歯列の拡大
  3. トランスパラタルアーチ 上顎臼歯の傾斜改善
  4. フェイスマスク (上顎歯列の牽引) 必要なケースのみ行う
  5. 2回目の上顎急速拡大(ファン装置 orハイラックス装置)
  6.  FKO (エフカーオー)機能矯正装置 夜間のみ使用する取り外し可能な装置 最後の仕上げに使用する

急速拡大装置(ハイラックス装置)による治療

1日1回スクリューを1/4回転(0.2mm)させる。2ヶ月かけて60回回すと12mm拡大することになります。他の拡大装置も取り扱いは同様です。

急速拡大装置(バラエティー装置)乳歯列など口が小さいお子さんに使用する拡大装置

永久歯が生える前の乳歯列の子供さんに使用する急速拡大装置です。違和感が少なく最初の導入装置としては最適です。

リンガルアーチ 下顎歯列(臼歯の正直)(内側に倒れている臼歯を外側に起こす)

不正咬合のお子さんは下顎の奥歯が内側に倒れていることが多く舌房(舌が収まる空間)が狭く舌が本来の正しい位置に入れなくて後方に下がってしまいます。奥歯を起こしてやることで舌房の空間が拡がって舌が正しい位置に収まるようになります。

トランスパラタルアーチ(TPA)    上顎臼歯の正直(外に倒れた大臼歯を歯列内に戻す)

急速拡大装置で拡がった大臼歯は外側に傾斜してくることが多いので、この装置で正しい傾斜に戻します。そうすることで噛み合わせが安定します。

FKO(エフカーオー 機能矯正装置) 下顎骨全体の前方回転の誘導

咬合誘導の最終仕上げの段階で使用する取り外しの機能矯正装置です。(主に夜間使用する)

口呼吸から鼻呼吸への変化

当院の受け口の子供さんのケースですが上記の治療の結果、気道が拡がって口呼吸から鼻呼吸に変化して機能障害の改善がみらました。

治療中の痛み等の不都合な症状は?(副作用など)

上顎骨の急速拡大装置は上顎骨の正中縫合といわれる軟骨のつなぎ目を拡げます。装置を入れて1週間は個人差はありますが、スクリューを回転すると歯よりも鼻の付け根がジワッと痛むという訴えが多くあります。(次第にこの痛みはなくなります)

また最初の1ヶ月間は鼻の通りが悪い子供さんは、鼻水がよく出たり、鼻血が出たりします。

しかしこれは『好転反応』と言われるもので全く心配は入りません。

それと最初は食べ物が装置の間に挟まって上手く咀嚼できない、硬いものが噛めない、発音がしにくく喋りにくい、下の装置が内側の歯肉に食い込んで痛みが出やすい、

という症状も出ますが、子供さんは適応能力が大人に比べて非常に高いので1ヶ月もすれば全ての不都合はなくなっていると思います。

副作用(最初の1ヶ月ぐらい)

  1. 鼻の付け根のジワッとした鈍い痛み(5分間ぐらいで消失します)
  2. 鼻水がよく出るようになる
  3. 鼻血が出る事がある
  4. 物が食べにくい(噛みにくい)
  5. 喋りにくい(約1ヶ月でほぼ解消します)

いずれも最初の1ヶ月、その後は装置を交換して1週間でほぼ不快症状は解決するケースがほとんどです。

治療の期間はどれぐらいかかるのか。

治療期間は約2年から2年半ぐらいはかかります。

その後は永久歯が全て生え替わるまで(12歳ごろまで)3ヶ月毎の経過観察をしていきます。

ケースによっては2期治療(ワイヤー矯正)が必要になる事があります。しかし当院のこれまでの経験では約40%ぐらいです。残り60%はワイヤー矯正は必要なく終了しています。

本当に抜歯せずに治るのか?

これもケースバイケースです。確立として30%ぐらいのお子さんは高校生ぐらいでスペース不足のためワイヤー矯正に移行し、その内の10%は抜歯が必要な診断結果が出ています。しかし1期治療の段階では永久歯の抜歯は決して行いません。

後戻りはあるのか?

通常の矯正治療の場合は、約10〜20%は後戻りがあります。顎顔面矯正については歯を拡げるのではなく、骨の軟骨縫合を拡大して行くので歯の後戻りはほとんどありません

費用はいくらぐらい必要か?

費用は医院によって多少の差はあります。当院の料金設定でご説明します。

まず成長期後の通常の矯正治療(ワイヤー矯正)は¥700,000〜¥800,000(税抜き)です。

早期の小児矯正(顎顔面矯正)はその半額 ¥350,000(税抜き)です。

その他に ¥5,000/月 の調整料がかかります。

12歳以降2次治療(ワイヤー矯正)が必要になった場合は残り ¥350,000(税抜き)が追加で必要になります。

まとめ

子供たちの健全な成長のためには、成長過程の呼吸を初めとする口腔機能を理解し、機能不全が疑われる場合は出来るだけ早い段階で対処してあげる事が、子供たちの将来的に非常に重要な意味を持つと考えます。

下の永久歯が生え変わるときに内側から生えてきたなどで、異常に気がつかれるお母さん、お父さんが多いです。

これは非常に重要で、そのときに上顎、下顎の乳歯列に生え変わりのための隙間があるか?いつもお口がポカンと空いていないか?鼻詰まりや扁桃腺が腫れやすくないか?イビキはかくか?などをチェックしてお子さんに機能障害があるか知る必要があると思います。

このようなチェックに当てはまるお子さんには、

無呼吸症候群やアレルギー疾患、口呼吸による姿勢の弊害を予防し、健全な成長発育を導く小児矯正(顎顔面矯正)が適応となる場合が多いと思います。

よねやま歯科医院 院長 米山博彦

 

子供の矯正治療  本当に必要?Part2

2024年3月16日

こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院 院長 米山博彦です。

今回はPart1からの続きです。なぜ現代っ子は歯並びが悪い子が多いのか

そして実際不正咬合と関連の深い口呼吸について、子供の成長にどんな影響があるのかをお伝えします。

なぜ現代っ子は歯並びが悪い子が多いのか

これはちょっと語弊があるかもしれません。歯並びが悪い子供は昔からいたのは確かです。

しかし私が歯科医師になって34年、開業してから26年経った今感じている事があります。

実際歯並びが悪い子は多いですが、その事よりも20年前に比べて機能障害を持っている子供たちが格段に増えてきた感じがします。つまり鼻呼吸ができない子供(口呼吸になる)が多いのに驚きを感じます。

口呼吸による機能障害の兆候

  • ・いつもポカンと口が開いている
  • ・食べるときにペチャペチャ音を立てて食べる
  • ・猫背で姿勢が悪い
  • ・イビキがひどい
  • ・寝起きが悪く、しばらくボーッとしている
  • ・扁桃腺が腫れやすく、風邪をよくひく

何故 子供の時期から矯正しないといけないのか。

子供の歯並び(不正咬合)と呼吸の関係

上顎は舌が当たることによって刺激を受けて成長するといわれており、その刺激が少ないと成長不足となり幅が狭くなってしまい歯の萌出スペースが不足します。さらに上顎が狭くなると下顎も連動して幅が狭くなり臼歯が内側に倒れてしまい舌が収まるスペースが狭くなります。

上顎が成長不足で狭いとその上にある上気道の鼻腔底も成長不足で狭くなり、鼻閉が起こりやすく口呼吸になってきます。その結果扁桃肥大で風邪をひきやすく、鼻アレルギーの憎悪の要因となっている事が多いです。

口呼吸と姿勢の関係

口呼吸の習慣が長く続くと姿勢にも悪い影響が出てきます。呼吸が苦しいために頭部は後屈(後ろにそる)し、首(頚椎)は前法に傾斜して、下顎は後退(後ろに下がる)した状態になってきます。その結果いわゆる『猫背』の状態になってきます。この猫背の姿勢は口呼吸するお子さんが一番呼吸するために楽な姿勢で無意識になってきます。

『姿勢が悪い!』といくら親御さんが注意しても呼吸しないといけませんから、口呼吸の問題を解決しない限りこの姿勢を治すことはできません。

イビキはお子さんの身体からのSOS!

寝るときにイビキをかくお子さんは、口呼吸でもともと気道が狭い上に寝るときは横になって舌が喉の方に下がって気道を狭くしますから要注意です。

この状態がひどくなると子供でも『無呼吸症候群』になる事があります。

またこの状態は酸素不足で熟睡できませんから睡眠障害が起こり、寝起きが悪く、ボーっとする事が多くなります。

それよりもっと問題は成長ホルモンが充分でなくなり、低身長、低体重が起こったり、情緒の不安定で落ち着きがなくなったりの原因にもなります。

小児矯正が必要な理由

正しい機能は正しい形態に宿る。 それ故、小児期の不正咬合を正しい形態に誘導することは、 正しい機能を獲得するために有益であると言えます。

また大人(成長期が終了した)の機能回復による形態改善は困難になります!(外科的な方法が必要 外科矯正 美容整形等)

以上の理由から私は小児成長期の正しい治療は必要であると考えます!

次回Part3では 具体的な治療についてお話しします。

よねやま歯科医院 院長 米山博彦

子供の矯正治療  本当に必要?Part1

2024年3月9日

こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院 院長 米山博彦です。

大切なお子さんの健全ですこやかな成長、女の子であれば将来美しく、男の子ではたくましく育ってほしいと親なら誰もが願っている事だと思います。

健康的な身体と綺麗な歯並び、美しい笑顔は一瞬で相手に好印象を与える事になり、おおげさではなくその後のお子さんの人生を変えてしまうと私は考えています。

ではなぜ歯並びは悪くなるのでしょうか?その原因はなんでしょう?また子供の時期から矯正をした方がいいのは何故なんでしょうか?よく言われませんか?「永久歯の生え替わりまで様子をみましょう!!」これは歯医者として言いますが非常に無責任な発言だと私は考えています。文献(世界の論文)からのレビューでは放置して自然に良くなる(正常咬合)になる確率はなんと10%以下(6.4%)と言われています。 つまり放置していては絶対に治らない!と言ってもいいと思います。

「なんかおかしいな?」と思った時が治療の開始時期だと思います!

悪い歯並び(不正咬合)の原因は?

子供に時期の不正咬合のすべての原因は結論から言うと上顎骨(上あご)の発育不足が原因と言われています。世界的な文献(論文)でも多数発表があります。歯並びを悪くする習慣(悪習慣)として指摘されているものは

  • ・よく噛まない
  • ・指しゃぶり、頬杖
  • ・口呼吸による機能障害

などがありますが、特に多いのが口呼吸による不正咬合です。

最近の子供達の特徴として感じるのは、上顎(上のアゴ)が狭く、鼻閉があり口呼吸をしている子供が多いです。ある調査では実に70〜80%の子供達が程度の差はあるけど口呼吸になっているといわれています。正常な舌の位置は上のアゴに接していますが、口呼吸の子供達は口で呼吸しないといけないので舌の位置はより低い位置 もしくは前方に置くようになり食べるときにペチャペタ音を立ててしまい、またイビキをかく子供が多いです。

口呼吸による機能障害の兆候

その他の以下の症状が口呼吸の特徴です。思い当たる方は要注意です!

  • ・いつもポカンと口が開いている
  • ・食べるときにペチャペチャ音を立てて食べる
  • ・猫背で姿勢が悪い
  • ・イビキがひどい
  • ・寝起きが悪く、しばらくボーッとしている
  • ・扁桃腺が腫れやすく、風邪をよくひく

また口が常時ポカンと開いていると頬の筋肉が弱くなり、その結果上の臼歯の歯列が内側に入ってしまいV字型の歯列になってしまい、舌を前に突き出す癖がつくと開咬となってしまいます。また口の中の体積が狭くなり様々な機能障害を引き起こす原因になります。

不正咬合の種類

出っ歯(上顎前突)

いわゆる出っ歯(上顎前突)。一見上の顎と骨が前に出ているように見えますが、実際は上顎骨の幅が狭くて下顎骨(下の顎)が後ろに引っ込んでいるケースが日本人始め東洋人には80%以上と言われています。

受け口(下顎咬合 反対咬合)

受け口とは、顎と歯が前に出ている状態で前歯の噛み合わせが逆になっている状態です。これの原因は大きく3つあります。

  • ・上顎骨が短く、下顎骨は正常。
  • ・上顎骨は正常で、下顎骨が大きい。
  • ・上顎骨は短く、下顎骨は大きい。

やはりこれも上顎骨の奥行き(前後の長さ)が短くて、実は下顎骨の大きさは正常範囲なのに下の歯が前に出ている状態の場合が日本人には一番多いです。(70〜80%) あとのケースは遺伝要素が大きく将来外科矯正になる事が多いです。

交差咬合

放置すると顔全体が歪んで成長してしまいます。特に女の子(男の子もそうですが)は思春期やお年頃になると非常に悩みます。実際に当院でも20代の女性が何人も相談にいらしてます。

成長期が終わって顔の歪みを治す方法は多くは外科矯正になってしまいます!顎の骨を切って組み直す治療で確かに綺麗に治りますが、入院が必要で身体の負担は大きいです。

できるだけ低年齢、できたら5歳ぐらいで気づいて治療始めれば綺麗に治りますしその後の成長発育も良い方向に導くことが可能です。

乱杭歯(叢生 ガタガタの歯 八重歯)

いわゆる昔でいう 八重歯 です(私が子供の頃はアイドル達もこの歯の状態が多くむしろ可愛いとさえ言われていました。)

歯のサイズとそれが並ぶ土手である歯槽部(歯肉部)のサイズがアンバランスで並びきらない状態を言います。

5〜8歳の間に顎を大きくする処置をすれば多くのケースで歯を抜く事なしにきれいな永久歯列に誘導する事が可能です。(一部例外はあります。)

開咬(奥歯だけが当たっていて前歯が噛んでいない状態)

前歯でかみ切る事ができません。食物をしっかりと噛み切り、噛み潰す事ができないため丸呑み傾向が強いです。これも上顎骨の成長不足から舌が本来の場所に収まる事が出来ず、物を飲み込む時に舌を前歯の隙間に突っ込んで蓋をする癖がついてしまい、やがて下顎全体が後方に回転してしまい、前歯が当たらなくなってしまった状態です。

過蓋咬合

これも上顎骨の幅が狭いのが始まりです。

上顎の幅が狭いため下顎の歯列が前に出る事が出来なくなって、結果後ろに後退してしまい前歯が全く噛み合わなくなって下の前歯が上の歯肉を噛むまで伸びてしまいます。(歯は噛み合わせがなくなると動きます!)

次回Part2では子供の矯正が必要な理由と 具体的な治療の方法をお話しします。

よねやま歯科医院 院長 米山博彦

マウスピース矯正のメリットとデメリット

2023年9月16日

こんにちは、姫路市の歯医者 よねやま歯科医院 院長 米山博彦です。
現在急速に普及しつつあるマウスピース矯正。矯正治療の難しさの敷居を下げた画期的な矯正方法と言われていますが、本当にそうなんでしょうか?
今回はマウスピース矯正のメリットとデメリットについて お話します。

従来の矯正とマウスピース矯正

「インビザライン」「クリアアライナー」「キレイライン矯正」など、最近耳にするようになったマウスピース矯正。皆さまはご存知でしょうか?歯科矯正と言えば、金属のワイヤーとブラケットを歯に付けるものが一般的でしたが、最近では透明なマウスピースをはめて歯並びを矯正する「マウスピース矯正」も選択肢のひとつになってきました。

マウスピース矯正が、従来の矯正と比べて大きく違うのは、やはり見た目。透明の矯正装置をつけるため人前でもストレスなく使用でき、取り外しが可能なため食事や歯磨きで不便を感じることもありません。しかし反面、間食しづらかったり、マウスピース着用中は飲み物が制限されるなどのデメリットも。

また、どの治療法にも得手不得手があるように、マウスピース矯正にも得意な症例と不得意な症例があります。歯科矯正を検討されている方は、ご自分の歯並びにあった矯正方法は何か?生活に支障はないか?などを
見極めることが大切ですね。歯科矯正にご興味がある方はお気軽にご相談ください!

インビザラインとワイヤー矯正の違い

マウスピース矯正の特徴は?

外見と快適さ

インビザラインは透明なプラスチック製のマウスピース(アライナー)を使用して歯列矯正を行います。

これに対して、ワイヤー矯正は金属製のブラケットとワイヤーを使用します。インビザラインは透明で目立ちにくく、取り外し可能なため、外見的に目立たず、食事や歯磨きが容易です。一方、ワイヤー矯正はブラケットとワイヤーが目立つことがあり、食事や歯磨きに制約があります。

修正できる不正咬合の範囲

インビザラインは軽度から中等度の不正咬合に適しています。前歯の傾きや間隔の修正、歯の混み合いや隙間の縮小など、比較的簡単な修正に効果的です。

ワイヤー矯正は、より広範囲で複雑な不正咬合を修正することができます。重度な混み合いや噛み合わせの問題など、より重要な修正が必要な場合には、ワイヤー矯正が一般的に選択されます。

治療の期間と進行方法

一般的に、インビザラインの治療期間はワイヤー矯正よりも短いことがあります。インビザラインは、透明なアライナーを進行することによって歯を少しずつ移動させていきます。

ワイヤー矯正では、ブラケットとワイヤーの調整によって歯を移動させます。

矯正の可視性

インビザラインは透明なアライナーを使用するため、一般的に目立ちにくいです。

これに対して、ワイヤー矯正は金属製のブラケットやワイヤーが目立つことがあります。特に成人や外見に敏感な人にとって、インビザラインは見た目への影響を最小限に抑えることができます。

取り外し可能性

インビザラインのアライナーは取り外し可能であり、食事や歯磨きの際には簡単に外すことができます。

これに対して、ワイヤー矯正は固定されており、矯正装置を取り外すことはできません。アライナーを外すことで、食事や日常の活動をより自由に行うことができます。ただし、アライナーの使用時間を守ることが重要であり、継続的な装着が必要です。

矯正の管理と調整

インビザラインの場合、歯科医は進行中の治療を管理するために定期的に新しいアライナーを提供します。患者は一定期間ごとにアライナーを交換し、歯の移動を進めます。

ワイヤー矯正では、歯科医が定期的な調整を行い、ブラケットやワイヤーを調整して歯の移動を管理します。

維持と清掃

インビザラインのアライナーは取り外し可能であるため、歯の清掃やアライナーの清潔さを維持することが比較的容易です。患者はアライナーを取り外して歯を磨くことができ、アライナー自体も洗浄することができます。

ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーが固定されているため、清掃がやや困難になることがあります。特に歯間の清掃には追加の努力が必要です。

応急処置と修正

インビザラインのアライナーが破損した場合や失われた場合、歯科医は新しいアライナーを提供できます。

一方、ワイヤー矯正では、ブラケットが取れたりワイヤーが曲がったりした場合には、歯科医の処置が必要です。ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤーが直接歯に取り付けられているため、修正や修復が必要になることがあります。

まとめ

以上がインビザラインとワイヤー矯正の主な違いです。どちらの方法が最適かを決定するには、患者の不正咬合の状態、治療目標、個人の好み、ライフスタイルなどを考慮する必要があります。
ドクターは、患者の個別の状況に基づいて最適な矯正方法(ワイヤーかマウスピースかまたは2つの装置の併用か)を提案することがあります。

よねやま歯科医院院長 米山博彦